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COLUMN 8


李朝民画
 

 

<李朝民画について>

 李朝の民画とは、李氏朝鮮時代に儀礼、魔除け、開運を願って用いた実用的な民俗絵画のことをさします。一点しか作られない美術品的性格のものもなかには見られますが、用途により専門の画工によって繰り返し描かれたものが多数と考えられます。もとは屏風仕立てで作られたものが多く、後に掛け軸に表装し直したものもあります。

 吉凶に因むものは一番多い題材で、長寿の象徴を描いたものや蓮、虎などがあります。虎は朝鮮では山神の使いや動物の長と捉えられ、李朝の民画の代表的な魔除けのモチーフと言われています。伝統的画題のものには、八景や狩猟図が挙げられます。静物画には、動植物を描いた花鳥画や独特な文房具図が含まれます。儒教・仏教・道教の三教に発するものについては、特徴的な文字絵もその代表です。これらは、屏風に仕立て書斎などに置かれていました。

 

<李朝の工芸品と民藝運動>

 柳宗悦(18891961)は、学習院在学時代から雑誌『白樺』を活動の場とし、大正5(1916)年に朝鮮半島を旅行した際に、それまで美術品として評価されていた高麗時代の工芸品ではなく、時代的に近い李氏朝鮮時代(13921910)の工芸品に美的価値を見出しました。

 柳宗悦が李朝の工芸品を集めたのは、日本に持って帰るのが主な目的ではなく、当時の京城(現在のソウル)に朝鮮民族美術館を創設するためでした。浅川巧・伯教兄弟の協力もあり、大正13(1924)年に景福宮内に朝鮮民族美術館が開館しました。現在、そのコレクションは韓国国立中央博物館に引き継がれています。

 民画という言葉も柳宗悦の造語で、日本では大津絵などを見出し、芸術家としての画家ではなく画工が描いた署名のない絵画をさしています。東京駒場にある日本民藝館や倉敷民藝館には、優れた李朝民画のコレクションがあります。

 

 

 

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